令和3年度 新しい診療体制について

病院長 北川哲也
 今年は、日本列島どこの桜も1週間ほど早い開花のようで、春日のどかな好季節となりました。しかし、愛媛県では3月末から、新型コロナウイルス感染症の第4波が発生し、全県下に『特別警戒期間』、事実上の緊急事態宣言が再発令され、油断できない人事異動の季節となっています。そのような厳しい社会環境ではありますが、当院では予定通りの多数の新規採用者を迎えられたことをとても嬉しく思っています。
 本稿では、この4月からの当院の診療体制について、地域連携医療機関の皆様にお知らせできればと思いペンを取りました。時系列で記載させていただきます。

 平成31年4月より呼吸器内科医として、多大なるご貢献をいただいた西條敦郎医師が3月1日より、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のOkada Labに留学されました。この度の新型コロナウイルス感染症のために、様々な制約があり、出入国と米国での生活のセットアップに多くの時間と費用を要したそうですが、無事、予定通りに仕事を開始できたと、先日メールがありました。本人は研究成果を早くあげたいとの思いが強いようですが、こんなにリフレッシュするチャンスは、人生のうち、そんなに無いと思います。家族と一層の絆を強め、のんびりして自分がお世話になった方々に思いを馳せられたらいいねと、私の留学経験からの“凡人の戯言”を返信してしまいました。Bon voyage!
 交代人事として、徳島大学呼吸器・膠原病内科学分野より、新進気鋭の梶本達也(かじもと たつや)医師が3月1日に赴任されました。埴淵昌毅呼吸器内科部長が、熱心に、大切に育てられていますので、梶本医師持ち前の極めて真面目で明るい性格もあり、着実に成長しつつあります。
 そして、やはり、長年、徳島大学寄附講座 地域総合医療学分野の岡久稔也特任教授の相棒として、消化器内科診療と地域医療教育に携わっていただいた曽我部正弘特任講師が、この3月1日より、徳島大学キャンパスライフ健康支援センターの教授に選任され、ご栄転されました。彼の兀々と辛抱強い、実直な仕事ぶりの賜物であり、たいへん喜ばしく、ますます発展されることを祈念致します。曽我部教授は今後も毎週火曜日の消化器内科外来を継続いただけますし、寄附講座の後任人事としては福家 慧(ふくや あきら)医師が赴任され、得意の消化器内視鏡診療をご支援いただけます。是非、多数、ご紹介いただければと存じます。
 また、岡久稔也特任教授、柴 昌子部長と香川美和子部長の指導下で、2年間にわたり、消化器内科医師として、大車輪のようにご活躍いただいた栗原健士医師が転勤されました。真面目で明るい性格や正義感が魅力的で、上部、肝・胆・膵や大腸まであらゆる消化管内視鏡検査を上手にこなされる、大いに成長された医師でした。また機会があれば、是非、一緒に仕事したい医師の一人です。
 交代人事として、4月1日に新進気鋭の門田美由香(かどた みゆか)医師が高松市立みんなの病院から赴任されます。先輩医師の勲等宜しく、皆さんの期待に応えて頑張りますので宜しくお願いいたします。

 産婦人科の立花綾香医師が転勤されます。1年と短い期間でしたが、人柄、知識と技術、共に申し分なく、スマートで飾らない性格から、患者だけではなく同僚スタッフの信頼も厚く、人気の医師として活躍されました。体外受精等の不妊治療を学びたいと自らの課題を話されていました。今後の成長が楽しみです。
 交代人事として、4月1日に笹田ひかり(ささだ)医師が徳島大学病院より赴任されます。立花同様、皆さんの期待に応えて頑張りますので宜しくお願いいたします。

 小児科は、この9年に渡り、小児科の“看板”として活動していただいた愛媛大学地域医療再生学講座の“日野ひとみ”医師が転勤されました。現代の社会問題になっている発達・心のケア、虐待・DV対策、医療的ケア児を対象とする幅広い、献身的な診療と活動を行っていただきました。この度は、愛媛県の小児神経専門の小児科医が少なくなっているので、請われて転勤ということになりましたが、当院ならびに四国中央市の小児神経疾患診療にもご支援くださいとお願いしました。
 後任人事として、平成28年4月から30年3月までの2年間、当院小児科に勤務されていた平井洋生(ひらい ひろき)医師が愛媛県立中央病院より赴任されます。旧知のスタッフも多いでしょうし、地域特性も良く理解された医師であります。小児内分泌・代謝が専門ですが、「この4月1日から、一般小児科診療を“午後にも行って終日に拡大”します」という岩井朝幸部長の方針をサポートして頑張っていただけます。
 また、小児科の中矢医師も1年の短い間でしたが、よく頑張っていただけました。小児内分泌・代謝の専門性を極めたいとの希望でした。健康に留意され、精進されて発展されますことを祈念いたします。
 後任人事として、地行健二(ちぎょう けんじ)医師が赴任されます。新居浜出身の若き小児科医のホープとお聞きしております。やはり小児内分泌・代謝を専門にしたいようですが、良いロールモデルがいらっしゃいますので、ひっついて勉強されるのも一法でしょうか。焦らず、着実に成長して欲しいと思っています。
 新生児・周産期医療は当院の得意分野でありますが、四国中央市で唯一の分娩可能な病院として、産婦と新生児には快適な環境下に、胎児期から周産期まで切れ目のない、優しく頼もしい医療を、社会の期待に応えて“一層力強く”展開していくのが私たちの責務であると認識しています。

 そして、皆様にご心配をおかけしておりました当院の精神科診療でございますが、まず、当院かかりつけ患者さんの皆様方の施設での受け入れについて、ご協力いただいておりましたが、皆様方のご尽力、ご協力のおかげで、この3月をもちまして、ほぼ転院の目途がたちましたのでご報告させていただきます。誠にありがとうございました。
 4月1日からは精神科医師として新野秀人(しんの ひでと)医師が赴任されます。新野医師は認知症ケアや診療に造詣の深い医師で、月、火、木、金曜日の認知症外来とともに、愛媛県認知症疾患医療センターの運用ならびに身体疾患をもつ患者さんの精神科ケア(リエゾン)について、MSWや心理療法士さんとチームを組んで診療していただけます。今後も地域医療の一翼を担っていく所存ですので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 外科では森本雅美(もりもと まさみ)乳腺外科医が赴任されます。昨年3月まで週に1度非常勤医師として、週に1度の乳腺・内分泌外科外来を担当されておりましたので、ご存知の先生方も多いと思いますが、この4月より常勤医師として、特に、乳腺診療、がん治療、緩和医療について診療していただけます。良き先輩であり、かつ同僚である武知浩和医師と絶妙のコンビを組みながら、『がん薬物療法専門医』として、堅実で真摯な医療を提供いただけます。『がん薬物療法専門医』が2名も常勤されている病院は希有であろうと思いますし、自慢の分野です。是非、地域連携を通じてご利用いただけますようお願いいたします。
 そして、武知浩和緩和医療認定医が『緩和ケア外来を毎週月曜日の午後3時から』開始いたします。勉強熱心で、誠意に満ち、患者本意に寄り添った診療は特筆に値します。標榜上、“緩和ケア外科”としてありますが、“緩和ケアとしての通常診療を何の制限なく行ってまいります。”

 また、4月からの新しい診療科として、HITO病院脳神経外科医である篠原直樹医師にお手伝いいただき、月の第1と3水曜日に脳神経外科外来を開始いたします。ご許可いただいた石川賀代理事長にもこの場を借りて御礼申し上げます。

 そして、この4月から新しい増築棟の20床を活用して、回復期・地域包括ケア病床を41床と増床して運用いたします。急性期病棟の患者さんが退院前に利用していただくだけではなく、レスパイト入院等を含めて、在宅からの直入院を広くお受けしてまいりますので、連携医療施設の皆様には、是非、ご活用くださるよう宜しくお願い申し上げます。

 最後に、この度の新型コロナウイルス感染症では今までに経験したことのない社会情勢となっており、古来からの医療の問題点である“感染症と人類との戦い”といった不気味な不安感すらいたしますが、このような時こそ、社会に求められた期待に応えて、自分達ができることを態度で示すことが大切です。弱い人のため、大切な方のため、誰かのために働きたい、あるいは社会貢献したいという思いは多様でありましょうし、彼ら一人一人の思いを大切に育み、『四国中央病院に就職してよかったと思っていただけるように手助けしたい』と思っています。新しく、しなやかで、多様な力を結集して、明るく、楽しく、前を向いて頑張ってまいります。
 以上、私からの挨拶とさせていただきます。
(令和3年4月1日)

お問い合わせ・連絡先